スパイウェアの境界線

Categories: ITtimes, ITなニュース  2011/10/3 月曜日

彼氏の居場所が分かるスマートフォンアプリ「カレログ」が、やはり物議を醸しています。

カレログをスマートフォンにインストールすると、別のパソコンからそのスマートフォンの情報を確認できるようになります。具体的には、GPSを利用した位置情報、バッテリー残量、通話記録、インストールアプリのチェック機能を搭載しています。(※行政指導等により現時点では一部の機能は制限されています。)

・彼氏の居場所をGPSでいつでも確認!
・「バッテリーが切れちゃって」なんて言い訳はさせません!
・浮気や電話代の無駄使いは絶対にさせません!
・出会い系アプリやエッチなアプリを入れてもすぐにチェックできちゃう!

「浮気防止のために彼氏のスマートフォンにこっそりインストールしちゃおう!」って触れ込みで広がりましたが、やられる方はたまったものではありません。スパイごっこみたいで好奇心もくすぐられてしまいますが、動機以前の問題として、このアプリの挙動はかなりきわどいものです。

・男のメンツも守ってあげなきゃね♪
といってバックグラウンドでひそかに動作する様はスパイウェアと酷似しています。

公開後、マカフィーが「不審なプログラム」に認定したのもうなずけます。

この手の技術は企業では営業管理等で既に利用されていますし、子供の安全確保のためにも有効活用されています。カレログは、視点を変えて既成の技術を魅力的な商品にするという点では秀逸な発想だったのかもしれませんが、モラルを問われることになりました。

とはいえ、危険な要素を多く含んでいた公開初期のカレログでも、悪質な目的をもつスパイウェアの比ではありません。スマートフォンは爆発的に普及していますが、スパイウェアの脅威に関しての認識は不十分なままです。今回の騒ぎは、技術を悪用すればどんなことができるのか、その可能性を気付かせてくれる機会になったことは事実です。しかし同時に、他人の機器にアプリを仕込むという発想を一般人に普及させてしまったのも事実です。

一石を投じたカレログは、行政の指導などを受けて幾分の方向修正を余儀なくされましたが、今後も便利なツールとして生き残っていく様子を見せています。


Author: Jun
アイティーアシスト代表 ワクワクするようなIT活用をご提案します。

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